雪の白山を下る(後編)
「オーイ早く上がって来いよ。粟がキレイだぜー。」
「わかった。今行くヨー。」
「あー腹減ったー!」
景色を見ながらまずは腹拵えです。♪「風は和み~て陽は暖か
し~」って山の唄が浮かんで来そーなほどのいい陽気ですー。
さっき8合目で「お先にー!」って追い越して行った若者がいまし
たっけ。「どちらまでー?」って聞いたら
「宝蔵までー。時間と相談ですけどねー。」
「気をつけてねー。無理しないで。」
「は~い。」って返事をしているうちに、みるみる間に視界から
遠ざかって行ったのですよ。若者の足は流石に速いと感心して
いたところです。
眼下の宝蔵山に続く稜線上に黒く動く点を見つけました。
「もうあんな所まで行っちゃったねー。」烏帽子山へ下る袖山の
辺りにその黒点が見えました。
「やっぱり若者は違うね。」って感心しきりです。
ところが、暫らく眼前の眺めに見惚れているうちに、さっきの若者
が目の前に現れたのです。
「あれー!どうしたのー?」
「独りでメシ食うのも、ちょっと…。みなさんの賑やかな姿が恋しく
なって戻って来ましたー。」
「あっそー。それは良かった良かった。みんなで食べよ。」っと
和やかにたっぷり1時間のランチを楽しんだのでした。
瞬く間に1時間は過ぎてしまいました。
ランチの後は田村線を下ります。若者も後に続きます。
権現山が目立っていますねー。(右)
青里岳の大きくて優美な姿が素敵です。
川内山塊の諸豪の峰々が視野に入って来ました。
田村線の下りは「つるべ落とし」の急坂もあるのですが、「みん
なで渡れば恐くない」の通りで、ぐんぐん下って行きました。
午後は穏やかな陽気になりました。歩く程に暑くなってきたので
途中で上着を脱ぎました。
振り返ると山頂はほど遠くに見えるまでに下ってきましたねー。
上りは心肺に負荷が掛って辛いのですが、下りは快適です。
さあ。また「天狗の腰掛」(ブナの大木)まで飛ばしましょう。
「天狗の腰掛」に着きました。他を圧して立つ大ブナです。
赤ら顔の鼻が高くて、手には八つ手の葉っぱの団扇を持った
山伏姿の天狗様が腰を掛けて下を通る者たちを睥睨している
イメージを想像しますね。何だか神の領域に迷い混んだ感じで
もあります。
慈光寺の境内には天狗様を祀った御堂がありましたね。
(下)仙見川の谷を隔てて毛石山とその先に七郎平山と銀次郎
山が見えました。今度機会があったら登ってみたい山々ばかり
です。
田村線は広くて伸びやかな尾根を5合目を目指して下って
行きました。天気はいいし気分は爽快ですー。(上)
斜面に積もった雪の形がふっくら白いお餅のようで、きれい
です。(下)
5合目袴腰(678m)まで下りてきました。ここから北東へ神戸山
(かんどやま657m)に続く尾根が分岐します。
「ー支峰神戸山には神戸家の古城跡あり。ー」(温古之栞
越後の山旅 上巻 藤島玄)
慈光寺開山が応永10年といいますから、その頃の領主神戸
備中守最重の城跡が神戸山にあるのなら、一度見てみたい
ものです。でも登山道はないから、今の時期しか行けないし、
行っても今は雪の下かもしれませんね。
応永年間というと室町時代ですね。守護大名の大内義弘が
3代将軍足利義光(大樹公)に反旗を翻して篭城して抗戦の
上滅ぼされた「応永の乱」(1399年)がありました。
下克上の世だったのですね。その頃既に慈光寺は在ったわけ
ですから正に古刹の所以ですね。
田村線最大の難所の4合目の急坂にやって来ました。高度計
は595mを表示しています。クラストとした雪面は急で滑落したら
止まりません。滑落しないようにと心配していたのに、ちょっと
滑っておっこちゃった人が居たのです。でも大事には至らず
ホッとしました。
手から外れたストックが斜面に流されたのを取ろうとして
バランスを崩しちゃったって言ってました。どこに危険が潜んで
居るかわかりません。山では油断大敵ですね。
(上)写真で見る以上に実際は急斜面なのです。2年前の2月
に友達3人でこの坂を乗越すのに難儀したことをよく覚えて
います。
(中)(下)流したストックを回収して首尾よくコースに戻って来ま
したね。ご苦労さんでした。
難所を過ぎて中越幹線の鉄塔まで下ってきました。高度は朝と
同じ3合目です。この後は尾根伝いに天狗堂まで下るだけです。
最後は締まって行きましょう。
慈光寺境内にある天狗祀堂に到着です。今日の安全登山と
無事下山の御礼のお参りをしました。
今日は一日晴天に恵まれて上りも下りもいい山行ができました。
このあとバスに戻って「さくらんど温泉」に浸かりました。
「桜藩と書いて「さくらんど」って読ませるんだよ。」と地元会友の
H氏が教えてくれました。
なめると、塩っぱくて温ったまるいい温泉ですねー。
2時半から4時までゆっくり湯に浸かったら疲れもどこかへ
いってしまいました。
次の山行も晴れ日に当たることを願っています。
歩いた軌跡 歩程6時間(上り3時間 昼食1時間 下り2時間)
国土地理院背景地図等利用許諾番号2011-005号
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コメント
素晴らしい一日でしたね。滑落事故にならなくて良かったです。私も二年前、唐松岳の下りで滑落しかかったんで。下りでほんの少し気が緩んだんでしょうね。幸い、先輩がバッグを掴んでくれたんで大事には至りませんでした。
kazu1954さん おはようございます。コメントありがとうございます。<下りで滑落しかかったー登山中の事故の大部分は下山中に発生しているそうですね。気の緩みとか原因は様々でしょうが、お互い安全登山で行きたいですね。
投稿: kazu1954 | 2013年3月 9日 (土) 09時55分
さすが新潟は近くに良い雪山が有って、おまけに帰りは温泉に入って最高ですね!その後に打ち上げの飲み会は無いのですか?
静岡の岳人 さん こんばんわ。 小生のレベルでは奥山は手が出ませんが、日帰り程度の雪山は一杯あって楽しい季節なのですよ。今回も下山の後のお風呂はたっぷり1時間半、湯に浸かって上がったあとのビールが格別に旨いのです。帰りのバスも宴会の続きみたいで、これが楽しみで山に登るのかもですね。(笑)
投稿: 静岡の岳人 | 2013年3月11日 (月) 17時57分
白山の雪景色、綺麗でしたね~♪ 感激いっぱいでした。
それとランチタイムと入浴タイムがたっぷりあって、ゆっくりできました。
私達女子組も湯から上がってビールで乾杯!
この日のビールは特別に美味しく感じました。(*^_^*)
FUKU様 こんばんわ。訪問ありがとうございます。白山行お疲れ様でした。雪も締まって春山到来を感じました。さくらんど温泉は温まるいい湯ですね。風呂上りのビール旨かったですー。
投稿: FUKU | 2013年3月11日 (月) 22時44分
おはようございます。
今朝の冷え込みは-3度だそうですが、
信濃川 酒屋付近は最高のパノラマでしたよ! 西南に守門岳、北に鳥海山?中央に飯豊山塊 くっきりとして 何か神々しいような感がしました。
kazu1954さん こんばんわ。今日は久ぶりのピーカン晴れでしたね。小生は角田から見ていました。飯豊と粟が真っ白できれいでしたね。日差しが暖かみをまして、いよいよ春山シーズン到来ですね。次はどこに行こうかと楽しみです。
投稿: kazu1954 | 2013年3月12日 (火) 09時48分