岩登りを体験する(会山行・角田カッタン岩)
下で眺めている分には手懸かり足場があって登りやすいように
見えるのですが、いざ自分の番が来て登ってみると、これが中々
手強いのです。自分の足元だけを見ていればいいのに、周り
の景色が目に入ると、高度感で壁が垂直に見えたりするのです。
結構スリルありますネー。
でも登り上がった時の爽快感はいいものです。
今朝の角田浜の大駐車場はほぼ埋まっています。ツアーバス
も駐車して、雪割草見物の登山者で大賑わいなのです。
仕度をしていたら、隣の車から訛りの方言が聞こえて来ました。
「どちらからですか?」
「山形県庄内地方ダー。」ショウナイ?「んだ。」
「遠路ご苦労様でーす。」
「ミスミソウまだ見れますかー?」
「ミスミソウ?ああ雪割草ですね。盛りは過ぎたけどこのところ
寒いからまだ大丈夫みたいですよー。」
今日はまた一段と風が冷たく感じられます。防寒代わりに雨具
を着込んでも丁度いいくらいです。
ヘルメット下げて桜尾根を登るのはちょっと気が引けます。
大部隊が続々と登ってくるので、渋滞気味です。
「どちらから?」
「会津若松です。」
「毎年来られるのですか?」
「いえ。ネットで見て…。」
角田山はメジャーな山になったのですね。
200mピークに着きました。俺らは右の踏み跡に入ります。
「こっちじゃありませんよ。登山路は直進です。」と団体さんと別れ
ました。カッタン岩は200mピークから西に派生する尾根が大鳥
越沢に落ち込む突端にある小岩峰です。岩峰は上下2つあって
今日ゲレンデになるのは上部の岩場です。
「カッタン岩」の謂れ(いわれ)知りませんか?カッタンは「褐炭」
かなー?「褐炭」とは炭化程度の低い暗褐色の石炭(デジタル
大辞典)と出ていますが。角田山は死火山という話しですから
あながち、その線もありかなー?でもよくわかりません。
午前中はラッペル(懸垂下降)の練習です。「しっかりした立木
(例えば俺らがぶら下がってもビクともしない)にシュリンゲを
カウヒッチでタイオフします。」(上)
「ロープはW(ダブル)にして使用します。ロープの真ん中の黒い
印で2つ折にして末端をW8字結び(ダブルエイトノット)にします。
」(中)
「ロープに環付カラビナでシュリンゲに連結します。」(下)
とリーダーが説明しているようです。
「下にロープを投げ下ろす時は大声で「ロープダーウン!」と叫ぶ
のですヨ。」「1つ1つの作業を的確に自己責任でしなければな
りませんヨ。」とリーダーが説明しているようです。
見ている皆さんも真剣です。
「作業に入る前には常に自己確保(セルフビレー)をしていること
を確認してネ。」「8環(エイトカン)の大環にロープを通し小環の
ネックに引掛けます。」(上)
「小環をハーネスの環ビナに連結します。自己確保を解除したら
ラッペリング開始です。」(下)
「上体を反って壁に垂直に立つ感じです。ロープは右腰でブレー
キングしながら降りましょうー。」(下)とリーダーが説明ている
ようです。
なかなかいい眺めです。みなさんすっかり会得して様になって
来ましたねー。
谷を隔てた灯台尾根を行き交う登山者が見えます。今日は相当
混雑している見たいですね。立ち止まってこちらを伺っている人
たちも見えますねー。(上)
カッタン岩は風の通り道なので寒いのです。気が張っているので
そうは堪えないのですが、でもやっぱり寒いは寒いのですよ。
風を避けて樹林の中で早めのランチになりました。(下)
俺らはいつものように好きな「坦々面」です。恒例の手料理が次
々回って来ます。ぜんまいの煮付けをいただきました。旨かった
ー。
食後はその場がロープの結び方教室になりました。「山でよく使う
のはダブルフィギアエイトノット(W8字結び)とクローブヒッチです。
舫い(もやい)結びは解ける恐れありなので、末端処理を必ずする
こと。」とリーダーに教わりました。(上)(下)
スリングを背負子紐にして負傷者を負んぶするやり方。転落者に
投げロープする時のロープに瘤の作り方。鐙(アブミ)の輪の作り
方(W8字結びの変形)。腰掛結びを作って2つの輪を2人で輪を
持って引張り上げる。
チェストハーネス代わりに使用する。転落者の傍へ降りて行き勇
気づける。為になりそーないい話を沢山聴くかせて貰いました。
でもインクノットと云い、クローブヒッチと云うけど「ノット」と「ヒッチ」
の違いって何?そこで英和辞典を引いてみたのです。
辞書にはknot(ノット)とは紐縄などを結ぶ。結び目をつくる。
hitch(ヒッチ)とはグイっと引っ張る。馬を繋ぐ。トラックに無料で
乗せてもらう。-ヒッチハイク。と出ていました。
(「スーパーアンカー英和辞典」Gakkenn)
実は明らかに感触が違う用語だったのですね。インクノットは
インク壺のくびれに縄をくくってぶら下げた感じでしょうか?
カウヒッチはCOW(雌牛)を柵に繋いだイメージでしょうかね。
午後からの後半は、隣の垂直壁からラッペルとフリークライムの
練習をしました。SLが支点作りに懸命です。本チャン経験豊富
なK女史は頼りになる存在です。(上)
谷越えの灯台尾根からこっちを伺っている風な登山者の姿が
見えました。(下)
支点が出来上がるまでの時間はフィックスロープの講習です。
写真は横のフィックスですね。例えば渡渉や崖の通過の場面
場面でしょうか?
(上)シュリンゲをカウヒッチで立木にタイオフします。ロープ末端
をW8字結びにしてカラビナで繋ぎます。
(下)途中のランニングビレーは同様にシュリンゲをカウヒッチで
立木にタイオフします。環付ビナに繋ぐ結びはクローブヒッチです。
スリングにビナを2つ懸けて自己確保します。(牛の尻尾を作る)
連結点に来たら1個ずつビナを「外す。懸ける。」動作を2回繰り
返してビレー点を通過すればいいのですね。
縦のフィックスの場合ってどんな場面かなー?ラッペル時の補助。
登攀中の自己確保かな。クレムハイストとプルージックのフリク
ションノットの説明です。このあとダイニーマスリングでクレムハ
イストとプルージックを試してみたのです。
ダイニーマスリングとロープの相性がよくないのでしょうか?
止まりの感じがあまりよくありませんでした。プルージックには
プルージックコードを用意した方がいいのでしょうね。
果敢な挑戦は、いい絵ですね。真剣、前向きな姿は見ていて気持
がいいですねー。取り付いたら登り上がるしかないのです。やれ
ばできるのです。がんばれ。ガンバレー。
岩登りの本チャンにチャレンジするなんてことは多分ないでしょう。
でも夏、北アで滑落遭難しないとも限らないのです。もしそうなった
時にも、慌てず騒がず冷静に対処できたらいいなーって思います。
今日習ったことをレスキューに応用できたら、今年一年の山行が
安心して楽しめるように思えました。
リーダーさん今日1日ありがとうございました。
(おわり)
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コメント
おはようございます。昨日も登り始めてから20分ほど過ぎての7時台は尾根を吹き上げてくる風が結構冷たくて汗が引くというより寒さが感じられるくらいでした。土曜日はかなり寒かったのでは?
角田で岩登り練習が出来るのですね?一般の登山者には考えもつきませんが、レベルの違いを感じちゃいました。
kazu1954さん おはようございます。土曜日は登山者の多さに驚きましたが、岩の上だと身動きでが取れず、余計に風の冷たさが沁みました。カッタン岩は桜尾根の途中から西に延びる支尾根の端にあります。灯台尾根からも見えますね。春恒例の岩トレなのです。縦走途中の岩場なんかの対処法の講習を受けに来たという訳です。面白くて爽快なのですよ。
投稿: kazu1954 | 2013年4月15日 (月) 09時58分
実践でのクライミング講習会は勉強になったでしょう。基本が大事ですから何回も勉強しないとすぐに忘れてしまいますね。私は実践の経験が無いけれど!また滑落しないように気をつけてね!
静岡の岳人さん おはようございます。クライミングは恐さと爽快感が表裏で嵌ると結構ハマるのでしょうね。ロープワークとか勉強になりました。でも1週間も経てばもう、忘れているのでしょうが。(笑)
投稿: 静岡の岳人 | 2013年4月15日 (月) 10時42分
追伸、私も先月、山岳レスキュー講習会でいろいろ勉強して来ましたが、やはり毎回基本を覚えないとすぐ忘れてしまいますね!
静岡の岳人さんも山岳レスキュー講習を受講されたのですね。<やはり毎回基本を覚えないとすぐ忘れてしまいますね!ー全くおっしゃるとおりです。初心忘れるべからず。と思ったら直ぐ忘れるのですから、仕様がありません。(笑)
投稿: 静岡の岳人 | 2013年4月15日 (月) 10時47分