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2013年5月29日 (水)

「八王子の大白藤」を観に行く(県天然記念物)

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5月18日(土)晴れ
今日は燕市の安了寺へ白藤を観に行きました。
辺りは芳醇馥郁の甘い香りに包まれています。

今日のミッションは「八王子の白藤」見物です。黒崎から新幹線
沿いの側道を走れば三条まで一直線です。時間は丁度お昼時。
お腹も空いて来ました。
黒崎に向かう道筋には好みの中華レストランがあるのです。でも
いつもいっぱいだから入れるかなー?と覗いてみたら、駐車場が
空いているじゃありませんか。スッと1台滑り込みました。

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「何名様ー?」
(1人ですと人差し指を立てると)。「どうぞー」とすんなり、カウ
ンター席に通されました。今日はついてます。こんなスムーズな日
もあるんだねー。「Aセットお願いしまーす。」
「ラーメンと五目入りあんかけご飯ですね。」

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お腹も足りたし、満足して新幹線の側道を三条まで一直線で燕市
の八王子までやって来ました。でもお寺様の前の道路は狭いし、
車は頻繁に通るし、駐車場は判らないしで、結局裏の農道脇に駐
車して田んぼの畦道を歩きました。田植えが終わったばかりの
ようです。植えたばかりの苗が風にそよいでいました。

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安了寺の境内は賑わっています。ちょうちんがぶら下がってお祭
り気分です。孫連れのお爺さんお婆さんの姿が多いようですね。
お寺の山門の電柱に立て掛けた「日本一……」の立て看板が昔
縁日で見た出し物小屋の人寄せ看板みたいで、グッドですー。

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新潟県指定天然記念物 八王子の白藤

「樹齢推定300年。幹廻り5.3メートル。無数の枝が四方に広がり
東西28メートル南北18メートルに張り出し、高さは2.5メートル
あり、毎年5月の上旬から中旬の開花期には数え切れないほど
沢山の花房が付き、その優雅な白い房から放つ馥郁(ふくいく)
たる香りは境内いっぱいに立ち込め、みごとな景観である。

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昔は銀山安了寺松濤園の藤樹とはやされ、時の仏光寺門主で
あった微明定院の会聞に達して次の和歌を下附された。 
 池藤 にごりなき 池のみぎはに千代かけて  にほひもふかく
 咲ける白藤   
昭和33年3月5日指定 新潟県教育委員会 燕市教育委員会」
とオバアさんが読んでいる案内板にそう書いてありました。

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甘い香りに包まれていると自然と童心に帰れるような、優しい
気持ちになれるような不思議な感覚です。ただベンチに座って
もう半日くらいボーっとしていられれば、優しい気持ちの人にな
れそうな気がして来る、そんな不思議ゾーンなのです。

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(クリック拡大)
甘い香りに誘われてクマンバチがブンブン飛び交っています。
辺り一帯は絵も言われぬ、いーい香りが漂っています。

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(クリック拡大)
お爺さんと孫が見ている案内板には何て書いてあるのかなー?

「八王子の大白藤の由来

当、安了寺は文政年間の火災により古文書を消失し、開基、開創
年代共に詳らかでない。一時期、無住の年代があったが、寛文8
年(1668)頃、三島郡夏戸本光寺住職玄昌が次男了学をともな
って入寺、中興の祖となった。

偶々、(たまたま)中興住職入寺当時、安心問題を端緒とする
宗門紛争が惹起し、貞享年間(1684~1687)、他の数10ケ寺
と共に真宗大谷派を離脱し、真宗仏光寺派に転派した。大白藤
は転派の決意を表明し、本山仏光寺の正紋「仏光寺藤」にちなん
で、この時植えられたものと伝えられる。

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以来300余年に亘り、中興住職の遺志を継ぎ、歴代住職、門信
徒の手厚い保護により現在に至っており、昭和33年3月5日
新潟県天然記念物に指定された。」(由来書)

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安了寺はお東から仏光寺派に転派した経歴のお寺だった
のです。

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当時、越後と北信濃に触頭寺院(ふれがしらじいん)として絶大
な教勢を誇っていた新井の願生寺(大谷派)と親鸞聖人の居多
ケ浜上陸以来のゆかりの有力寺院だった高田浄興寺との間に
教義論争が巻き起っていたというのです。新井願生寺方VS
高田浄興寺方に2分して多くの末寺門徒と本山東本願寺を巻き
込んで大論争に発展し、その裁定に寺社奉行が乗り出す始末
に及んだのです。
真宗では教義の受取り方の違いを「異安心(いあんじん)」と
いいます。

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教義異安心(いあんじん)とは何でしょうか?
「子供(15歳以下の者)は往生して仏になれるか、なれないか。」
という問題を巡って「小児は往生する」という浄興寺方と「小児は
往生しない」という願生寺方との主張が対立したのです。
昔は幼児死亡率が高かったので「7つ前は神のうち」といって
7歳までは人別帳に載せなかったというのです。
人別帳とは宗旨人別帳のことです。江戸幕府が強いた檀家制度
は葬儀には必ず住職の証明を必要とする法度(はっと)がありま
した。

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あくまでも強硬な願生寺方に困り果て、浄興寺方は本山に訴え
出ます。双方が本山に呼び出されて吟味された結末は願生寺
方の敗北となりました。首謀者は追放、願生寺は取り潰しと決
まりました。願生寺に加担した寺院は東本願寺の末流に留まる
ものと、取り潰しの難を逃れて仏光寺に改派するものとに分か
れました。

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しかし願生寺は本山の一方的な処分に納得せず、翌年、江戸の
寺社奉行に上訴する挙に出ます。大詮議が始まりました。詮議の
結果は本山に逆らった不届き者という裁定が下りました。信心の
あり方、教義の解釈の問題は不透明のままで、願生寺側の訴え
は埒(らち)明かずに終わったと言います。

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この異安心論争に連座して詮議を受けた寺院は信越両国で89
ケ寺に及びそのうち48ケ寺が改派を余儀なくされたのです。

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5年後の元禄4年(1891年)本山の指令で越後末寺門徒の
教化と統理を目的とした三条掛所が、村上領三条の地に創設
されます。
大工事の末、さらに12年後の元禄16年(1703)に三条御坊が
完成します。教導の司令塔となる三条別院の300年の歴史が
ここにスタートしたのだと思うと感慨深いものがありますね。

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(「なむの大地〔復刻版〕越佐 浄土真宗の歴史 新潟仏教文化
研究会編 大谷派三条別院の成立とその背景ー願生寺事件と
仏光寺転派問題」 平成23年10月28日発行 ㈱考古堂書店)

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空を見上げると飛行機雲が対角線に白い航跡を残して消えて
行きました。安了寺の大白藤の由来には願生寺に連座した
東本願寺の
末流寺院の命運をかけた葛藤が刻まれた古い歴史が隠され
ていたのです。転派した仏光寺の寺紋の藤に因んで植えられた
若木が300年の長い時を経て現代に命脈をつないで来たとは
何とも象徴的ではありませんか。西蒲原に仏光寺派のお寺様
が多い次第が少しわかったような気がしました。

(おわり)

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コメント

こんばんは。
わらび採りにコメントしようと思ってましたら、なんと安了寺。
実は、我が家からすぐの所です。昔ここでお習字を習ってました。(笑)

でも、藤の時期は一度も訪れたことがありません。近所にあるとそんなものですね。

藤の写真を見て、来年は行ってみようと思いました。

わら様 おはようございます。コメントありがとうございます。安了寺はわら様がお習字を習いに通った思い出の場所だったのですね。オイラも田舎の出ですから、昔まだ保育園がない頃、近くのお寺さんで遊んだものです。安了寺様の大白藤は甘い香りが漂って心休まる素敵スポットでした。今度お出かけ下さい。

投稿: わら | 2013年5月29日 (水) 21時17分

「日本一の大白藤」見事ですね!花房も大きいし、幹も太いですね、さすが日本一!しかしお寺にもいろいろな歴史があるんですね。薀蓄が凄い!!

静岡の岳人さん おはようございます。ジャンボ藤の木は強い芳香を放って、クマンバチも人も引きつけています。甘いキャラメルのような香りが漂ってほんわかと幸せな気分になれるのですよ。一見の価値ありです。ゴボ様で有名な三条御坊の大寺院がこの異安心事件をきっかけにして出来たと思うと興味深いですね。

投稿: 静岡の岳人 | 2013年5月30日 (木) 08時00分

おはようございます。奇遇ですね。貴兄の赴かれた翌日の日曜日に安了寺の大白藤を観に行きました。娘の旦那の実家が三条なもんですから、あちらの父上に誘われて、見に行った次第です。確かに手前2~300メーター辺りから馥郁とした香りが漂ってましたよねー。白藤の見事さに感銘しましたが、安了寺の成り立ちまでには思いも及びませんでした。(笑)どうも人間の出来が違うんですね(笑)

kazu1954さん おはようございます。カズさんも行かれたのですね。中々見事な藤ですね。甘い芳香に酔ってしまいました。近場に親戚が出来たから今度はいつでも行けますね。(笑)三条御坊様の創立がこの異安心事件が契機になったとは興味深いです。この歳になって初めて知ることばかりです。

投稿: kazu1954 | 2013年5月30日 (木) 09時48分

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