半夏生に途惑う(佐潟周回)
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7月21日(月・祝海の日)梅雨明けのような晴天です。
佐潟(西蒲区)に行って来ました。半夏生(はんげしょ
う)・烏柄杓(からすびしゃく)を見たかったのです。
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佐潟は角田山の麓・赤塚の砂丘地にあります。漫画家・赤塚不二
夫氏が戦時中に疎開していた所と聞いたことがあります。図の赤
い⇒を時計回りに歩くと丁度1時間の行程です。
「二十四節気七十二候のうち、夏至の三候。新暦七月二日ごろ。
サトイモ科の半夏(烏柄杓の漢名)が生じるので、この名があると
いわれている。」
(俳句歳時記 第四版増補 夏 角川学芸出版=編)
烏柄杓は?半夏は?と目を皿にしてうろうろ、きょろきょろ。でも
探す時って見つからないものですよね。
水辺に出ました。沢瀉(おもだか)やコウホネ(河骨)や蓮の花がき
れいです。今日は晴れて蒸し暑くなりました。でも、ここに立つと水
面を渡る涼風が頬に気持ちよく感じられます。
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今日は3連休最後の日。前半の2日間は梅雨末期の大荒れ予報
が出ていたので、双六岳の下見山行も行けず仕舞いでした。で、
今日は安・近・短の角田山の麓にやって来たという訳です。
ヨシのヤブの中に真っ直ぐ木道が通っています。進んでみますネ。
ここまで来るともう誰もいません。今日は海の日です。皆さん山を
越えて海へ行っているのかしら。
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これは何?葉っぱの表面が白化している草花をみつけました。マ
タタビの草バージョンです。実はこれがハンゲショウだったのです。
別名はカタシログサ(片白草)。絶滅危惧種だそうです。
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案内図の木道が終わる辺り、左側○と↑の印を入れてみました。
ここで見つけたのです。
暦の半夏生の語源は歳時記には半夏(カラスビシャク)が生える
頃と書いてあります。いや、待てよ。暦上の語源ということは…。
心配になって、もう一度歳時記の目次をめくって見たのです。先
ず「時候」の項に半夏生があって、「植物」の項は?と見ると。夏
編の植物は種類が多いから目次も膨大です。
ありました。在りました。蛍袋の次に。「半夏生(はんげしゃう)ドク
ダミ科の多年草。水辺に白い根茎を伸ばして群生し、七月初旬に
葉の付け根に花が咲く。名の由来は、半夏生のころ上部の葉が白
くなるからとも、その白い部分を半分化粧した姿に譬えたともいう。
」とあります。
(クリック拡大) 左下図を右廻りに周りました。
(クリック拡大) ミソハギ
えーっと。こんがらがって実に紛らわしい。何々…。整理すると、
半夏(はんげ・カラスビシャクの漢名)が生える時候に半夏生とい
う植物(別名・片白草)が花を咲かせる。というのですね。そして
どちらも夏の季語だから、なおわかりにくい。
(クリック拡大) ヨウシュヤマゴボウ(全草毒です。)
それで、カラスビシャクはどの辺に出ますか?って観察棟のおね
いさんに尋ねてみたのです。
「1985年の調査では記録がありますが、平成23年の調査では
消えていますね。外来種ですから駆除れた可能性も否定できま
せんね。」
あーなるほどです。ここはラムサール条約の登録湿地ですものね。
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周回路を更に進むと小洒落た看板をみつけました。体験型ハーブ
農園とあります。ちょっと寄ってみましょうか。坂を登って高台に出
ました。
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種々のハーブが植えられて花を咲かせています。でもその手の
花はよくわかりません。
テラスで人の話し声がします。こんにちはー。ステキな所ですね。
「そうでしょ。高台にあって眺めはいいし、いい所よ。美味しい紅茶
とケーキ如何。」
先を急ぐのでまた来まーす。なかなか雰囲気あって、よさ気です。
周回路は人里を離れてどんどん奥へ伸びて行きます。今は西瓜
の収穫の最盛期です。この暑いのに脇目も振らず仕事に没頭す
る農家さんの姿がありました。
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ひと気がなくて薄暗い小路の路傍にナワシロイチゴが赤い実をつ
けていました。これは甘くて、美味いジャムが出来るのですよ。
潟から畑の散水に取水するポンプ小屋が無数に建っていました。
下潟(したかた)と上潟(うわかた)を分ける橋に出ました。角田山
に向かっていた周回道は北へ転じて対岸に渡るようにります。丁
度折り返し地点にトイレがありました。きれいなトイレです。
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対岸に出ました。こちらは広大な砂丘地でちょっと異国に迷い込ん
だような錯角を憶えました。葉煙草畑も今が収穫時期の様でクラ
ゲのような形の機械が動いていました。
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煙草の花です。初めてみました。ラッパ形ですね。葉っぱは癌の
原因になるけど、花に含まれる分子は癌の特効薬になるそうです。
砂丘地には月見草(待宵草)が似合います。夏の季語です。
葉タバコの隣は長大な夏葱の畝が続きます。夏葱も季語ですね。
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潟に戻って来ました。遊歩道も終盤です。ヨシの林の先にピラミ
ッドの多宝山が見えました。近付くとヨシ藪の中から驚いたように
大型の鳥が飛び立ちました。
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潟辺に合歓(ねむ)の大木がありました。合歓の花がきれいです。
合歓の花も夏の季語です。
炎天の下を歩いてきたら汗びっしょりになりました。帰りに砂丘地
に建つ100円風呂に寄ったのですが、閉まっていました。毎週月
曜日は休館だったことを忘れていました。
あきらめて、県立図書館へ向かいました。借りていた本を返しに
向かったのです。木陰のベンチから妙なる調べが聞こえてきまし
た。フラメンコギターです。表板を指で叩き足を踏んで拍子を取り
ながら独奏しているのです。
目を閉じて悦に入っている奏者の横に腰をおろして、暫し耳を傾け
ていました。ジプシーの音楽は哀調を帯びていいものです。
仕上げにラーメンを頂いて帰りました。
今日は佐潟遊歩道でいい汗をかきました。半夏生に出会い、ハ
ーブ園に立ち寄り、煙草の花もを見れたし、フラメンコギターの調
べに酔いしれて思いがけずもいい一日になりました。
(おわり)
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コメント
「半夏生」は深く考えもすずに、今頃の季語として使っていましたが、眼からうろこでした。
遠くへ行かなくても、潟に花に周辺の景色、散歩と盛りだくさんに楽しめましたね。
せっかくカロリー消費したのに、やはり仕上げがラーメンですか!(笑)
noritan様 おはようございます。コメント感謝です。「半夏生」はわかりにくいですね。でも現物を見られて納得しました。疑問の時は現地に行くのが一番かもですね。佐潟周回はなかなか良かったです。トレッキングにどうかな?なんて下心が覗いたりして。(笑)
投稿: noritan | 2014年7月24日 (木) 03時35分
しゃくなげいろさま
何時も勉強させて頂き、ありがとうございます。
半夏と半夏生の区別 無知なる故に全く知りませんでした。
煙草の花 小生も始めて観させていただきました。
以前、赤塚には葉タバコ栽培組合も有りましたが
時代の流れで今は解散?
佐潟、そして周辺は新潟の大きな財産ですね。
輝ジィ~ジ様 おはようございます。いつもコメント感謝です。実は輝ジィ~ジ様のいつぞやの、佐潟にハンゲショウが出ているかものコメントに誘われて出かけたのですが、半夏のカラスビシャクのことばかりを思っていたので、ハンゲショウの実物を見てびっくり。大いに勉強になりました。嗚呼勘違い。先入観念とは恐いものですね。(笑)砂丘地の葉タバコ畑に立つと中米の煙草畑もかくやと想像に駆られます。昔はもっと盛んだったのですね。陽に焼かれて、いい経験が出来ました。
投稿: 輝ジィ~ジ | 2014年7月24日 (木) 06時55分
佐潟良いところですね、半夏生?私が知っているのは葉っぱが半分白い貴兄が見た植物だと思います。最後の締めはやはりラーメンですね、武蔵のラーメンはチャシューがでかくて美味しそうですね!
静岡の岳人さん おはようございます。山から教わることは多いですね。この歳になっても知らないことだらけです。今時のラーメンは進化していると思います。ここの屋号は「チャーシュー屋武蔵」っていうのですよ。辛味噌ラーメンはファンが多くて店内はいつもいっぱいです。夏、汗を流しながら食べるラーメンは旨いですね。
投稿: 静岡の岳人 | 2014年7月24日 (木) 10時00分
おはようございます。
タバコってはなが咲くんですか?!
何十年も生きてきて、初めて知りました(笑)
いやーためになります。
kazu1954さん おはようございます。たばこの花って細長いラッパ形で特徴的ですね。何でも花に養分が行かないように、すぐ摘み取られるそうですから、見られたのはラッキーだったかもですね。煙草も斜陽だから文化が次々姿を消していくのは寂しいです。
投稿: kazu1954 | 2014年7月24日 (木) 10時03分