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2014年7月 3日 (木)

南八ヶ岳花紀行(赤岳周辺・6月)

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南沢コースを行者小屋に向かう途中でコイワカガミ
(小岩鏡)の群生に出会いました。

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(クリック拡大)
高速道諏訪南ICを出て直ぐの信号機の場所は「御射山(みさやま
)」と書いてありますね。八ヶ岳山麓の裾野の一隅に御射山社があ
ります。

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鎌倉時代、この一帯は諏訪大社上社の社領で「御狩の神事」が
行われた聖地だったのです。時代が下って甲斐の武田信玄が諏
訪地方を平定するに及んで、八ヶ岳山麓に「棒道」(軍用道路)が
通ります。それまで諏訪大社のご神域で立入りがかなわなかった
八ヶ岳山麓の新田開発が開始されたのはいつ頃からでしょうか。

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諏訪地方といえば御柱祭りが有名ですね。御柱になる樅の大木
はかつては御小屋山(御柱山・2136m阿弥陀岳の西方に位置
する)から伐り出されたといいます。伐り出された木材の搬出道が
建設されて、多くの人手が関わったことでしょうね。Img_0546
(クリック拡大) 地蔵尾根から行者小屋方面を眺望
中央の三角山(美濃戸中山)と左の斜面(阿弥陀岳北稜)に挟ま
れた谷間が南沢です。谷を抜けた辺りに行者小屋があります。
御小屋山は左斜面の延長上の阿弥陀岳(見えません)の西方に
位置しています。

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(クリック拡大) シロバナヘビイチゴ(白花蛇苺) 南沢入口附近
歩き始めて間もなく路傍に白花を見つけました。シロバナヘビイ
チゴが咲いていました。「蛇」(へび)と名前がつくと引いてしまい
ますが、これが中々美味な苺です。

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(クリック拡大)
苔むした大岩を杖が支えていますね。ユーモラスなシーンを見か
けますね。話を戻します。八ヶ岳山麓に多くの人手が入って開発
が進むのは江戸中期頃のことだったでしょうか。赤岳を仰ぎ見て
いつか一度は登ってみたいと思ったかも知れません。

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(クリック拡大)キバナコマノツメ(黄花駒の爪)
登り始めて1時間後、岩頭の石祠の手前附近で口唇形の花びら
が馬の顔に見える?特徴的な黄色いスミレが群生していました。

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丁度コースの中盤に差し掛かった頃、大岩が出現しました。大岩
の基部(右側)に不動明王の石碑がありました。お不動様は修験
の守り本尊です。講の信者が担ぎ揚げたものでしょうか?南沢を
遡ると行者小屋があります。周囲には阿弥陀岳があり、地蔵の頭
、大同心、小同心と仏教に因んだ名前が目白押しです。

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(クリック拡大)
大岩の岩頭の先にも石祠が祀ってありました。法印様に先導され
て「六根清浄」を唱えながら登拝路を辿っていく講の人たちの姿が
想像できます。越後でも江戸後期に泰賢行者が世に出られて、八
海山に登拝路が開闢されます。八海講が組織されて、多くの講中
信者で賑わったそうです。ここでも赤岳の講中登山の機運が高ま
っていた頃だったかも知れません。

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(クリック拡大)   岩頭の石祠を登った辺り
コイワカガミの群生に出会いました。色が濃いですね。

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柳川南沢を遡ってコンタ(等高線)の幅が広く変わる辺り。通称「
白河原」を上ると行者小屋の屋根が見えてきます。「行者小屋」
の呼び名にも歴史を感じます。
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(クリック拡大)
地蔵尾根に取り付くと、阿弥陀岳が競り上がって来ました。南沢
の南側の尾根(御小屋尾根)を登り、摩利支天峰に出て山頂に至
るコースも機会があったら歩いてみたいですね。手前の緑は樅
?栂(つが)?トウヒ(唐檜)?針葉樹はよくわかりません。

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急峻な地蔵尾根を喘ぎながら登って縦走路に出ました。横岳の岩
壁に押し戻された上昇気流がさかんにガスを吹き上げています。

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(クリック拡大)  
アカモノが咲いていました。可愛らしい花です。

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(クリック拡大)
天望荘に上る途中の岩陰に咲くイワウメの群生を見つけました。

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(クリック拡大)
天望荘に着きました。登山道脇の這松の茂み中にキバナシャク
ナゲ(黄花石楠花)が咲いていました。丈が短くて地を這うよう
です。

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(クリック拡大)
賑やかに咲いている紫色の花はオヤマノエンドウ(御山の豌豆)
です。

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(クリック拡大)
一瞬ガスが切れるとキバナシャクナゲが顔を出しました。頂上山荘
(赤岳北峰)の崖下附近でみつけました。

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(クリック拡大)
チョウノスケソウ(長之助草・バラ科)赤岳南峰縦走路附近にて
葉っぱと花の形に特徴があるようです。

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(クリック拡大)
イワウメ(岩梅)岩の隙間に咲いていました。チョウノスケソウとは
葉っぱの形が違うのが分かりますか。

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(クリック拡大) イワベンケイ
岩の隙間の僅かな部分に根を張って咲く姿はいじらしいですね。

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赤岳山頂へ登りました。山頂には赤嶽神社が祀られています。
石祠は講中の信者さんたちが歩荷(ぼっか)で担ぎ揚げたもので
しょうか。

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(クリック拡大) イワウメ
こちらはすっかり開花した状態です。梅の花に似ているというの
が名の由来のようです。(文三郎道分岐附近)

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(クリック拡大)
文三郎道を分けて中岳の鞍部まで下って来ました。赤岳を越えて
陽が上るまでは、暗い這松の中でじっと待っているのでしょう。コ
イワカガミとキバナシャクナゲを見つけました。葉裏に夜露を溜め
た姿がみずみずしいですね。ピンクっぽいシャクナゲもありました。

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(クリック拡大)
この葉っぱ何の花でしたっけ?

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(クリック拡大)
こっちは分かります。コマクサですね。パセリみたいな特徴的な葉
っぱには見覚えがあります。

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(クリック拡大)
中岳の山頂に登って見えるもの。阿弥陀岳じゃありません。
手前の木はダケカンバの雄花でした。

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中岳のコルにザックをデポして空身で阿弥陀岳にアタックしまし
ょう。クサリと鉄ハシゴは最初だけで、あとは手探りのスリリング
な登りになりました。落石を起こさないように慎重に行きました。

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(クリック拡大)
這松の斜面の隙間にハクサンイチゲが咲いていました。

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(クリック拡大)
隣りにミツバオウレン(三葉黄蓮)も咲いています。

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こっちはヤツガタケキンポウゲ(八ヶ岳金鳳花)です。

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ヤツガタケザクラ(八ヶ岳桜)。阿弥陀岳北稜をトラバース中に見か
けました。

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「八ヶ岳の樹林帯は溶岩台地のため土が乏しく、代わりにスギゴ
ケが表面をくまなく覆い、水を含んだ林床が植物を育てる仕組み
が出来ているのです…」と八ヶ岳の自然と題したTVの教育番組の
とおりの世界です。

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ミヤマカタバミがきれいに開花していました。

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(クリック拡大)
テングダケ(アマニタ)が発生していました。ひっくり返したら、石突
が壺状のアニマタの仲間です。夏キノコを見ると夏近しを感じます。

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美濃戸の登山口に戻って来ました。皆さんご苦労サンでした。
今回は八ヶ岳信仰の石祠巡礼ときれいな花々を見ながらいい
山行ができました。

(おわり)

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コメント

しゃくなげいろさま
下見山行ご苦労様でした。
改めて歴史と花の勉強が出来て有り難く
拝読させて頂きました。
小生、夏場にこのコースは2,3度しか
経験無く、10年ほど連続で1月の成人式をめどに
恒例?登山として個人的に行っていました。
来年年明けに是非 計画して見て下さい。

輝ジィ~ジ様 おはようございます。コメント感謝です。以前輝ジィ~ジ様の冬八ヶ岳のレポを拝見して凄いなーって思いました。正月ご来光を拝みに登頂する人で賑わうと小屋の主人も言っていました。冬晴れの山上の景色はきっと爽快でしょうね。ちょっと恐いけど。(笑)

投稿: 輝ジィ~ジ | 2014年7月 3日 (木) 10時46分

南八ケ岳のイメージは苔むした岩と針葉樹林ですが以外に高山植物も多いんですね!越後の山とは違う花が楽しめたと思います。やはり八ケ岳は最高ですね!!しかし登山途中に写真をたくさん撮る余裕がよくありますね、大したもんです!ご立派!

静岡の岳人さん おはようございます。やはり3000m近くなると咲いている花の形が違いますね。名前の前にヤツガタケの冠が付く固有種もあって多彩ですし。権現岳方面も面白そうだし、ちょっと嵌ってみたくなりました。偶にしか来ない御のぼりさんなので、見るもの皆珍しくて、写真撮りまくるものだから、リズムが狂って大変なんですよ。(笑)

投稿: | 2014年7月 4日 (金) 07時27分

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