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2015年9月27日 (日)

帰りの道は長かった(赤谷林道)

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延々と林道歩きが続きます。歩けど歩けど先は
遠く秋の夕暮れが迫ります。

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帰りの最初はこの大岩越えから。この後難所が3箇所、水天狗坂
に崩壊地の高捲き道と北股吊り橋の前後の急坂が待っています。

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名水の石碑が炊事場の片隅に場違いのように建っていました。
バケツに引かれてホース先から流れる水が名水の様です。その
路脇に「哀 小柳美能女溺死之墓」がひっそりとありました。

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「ー山荘の前に、温泉中興の故平野忠太郎翁を祀る「木鶏岩」。
(中略)明治9年峡底の温泉哀話の物語や明治15年「滝谷村温泉
場より参詣開道」の記念碑や、明治17年の「新潟県衛生課の温泉
分析表と話題はつきない。

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ーそしてこの出湯と湯治の数々のロマンスが淡く語りつがれて、
赤谷マタギの熊狩り武勇伝や岩魚釣りの昔を想うと、よくもこの
険悪な川筋を辿ってきたものだと、感嘆するばかりだ。」
(「越後の山旅 上巻」 藤島 玄著)

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と藤島玄さんが書いている歴史秘話がいっぱい詰まった湯の平温
泉を後にしたのでした。湯の平温泉よさらばまた来る日まで。

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水天狗坂を過ぎ崩壊地の新道の入口まで来ました。

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(クリック)
ハナホウキダケ(毒菌)が発生していました。きのこを食べて大き
くなったのか10㌢はあろうかという山ナメクジが傍をもっそりと這
っていきます。あまりにグロいので撮りません。

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「北股川は、飯豊川中流の大支流で、北股岳、門内岳から発源
する。遡行記録があるが、初夏の雪渓が断続するころがもっとも
危険である。それよりも恐しいのは、この沢の徒渉である。夏山
開きには釣橋をつくるがそれ以前の徒渉は文字とおり命がけで
要照会である。」(「越後の山旅 上巻」 藤島 玄著)

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北股吊橋をわたって対岸の渓谷沿いを進むと、ブナ林の中にベン
チが置かれていい休み場になっています。次々到着する登山者と
和やかな談笑の場になりました。

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(クリック)
ドクベニタケがあっちにもこっちにも、やたら目に付きます。

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(クリック)
岩場のへつり道に差し掛かると、頭上の木々が俄かにざわめき出
しました。ぎゃぉ、ぎゃぉーと喚きたてる声が足下の茂みの中からも
聞こえて来て…。やがて前方に哨戒の見張り猿が前方に姿を現し
たのです。

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「ホンドザル 成獣の体長60㌢前後、(中略)30~40頭くらいが
群棲し、広く廻遊して歩く。地上、樹上生活が半々くらいで、完全
な昼行性で栗、山葡萄、アケビ、ノイバラの実、木の芽、樹皮その
他昆虫類などあらゆるものを食う。群中の最強の雄一頭が全権を
握る。」(「
越後の山旅 上巻」 藤島 玄著)

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みえませんか。居並んだサルたちにカメラを向けると途端にサッ
と草ヤブに姿を隠すのです。ホーホーと咆え声をあげて山側と谷
側で連絡を取り合っている様子です。

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へ吊リ道を通過するモモさんの頭上の木に大猿が現れて揺さぶ
っています。ちょっと恐さも感じたので目を合わせぬように急いで
現場を離れました。

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どうやらサルの咆哮も聴こえなくなった所まで下って来ました。や
れやれ。

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(クリック)  
ブナ林の木の葉に頭を隠しているのはクサハツでしょうか。まだ
暑さが残る今頃は毒菌ばかりが目につきます。

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(クリック)
ツエタケが並んで出ていました。食菌ですが食指が動きませんね。
曲り沢の木橋を渡って右へ周り込めば掛留沢の駐車場はもう間
近の筈です。

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掛留沢の駐車場に到着しました。湯の平温泉に下りる時にスライ
ドしたヒゲのオジサンが一服つけている処でした。
「これからサイタマまで帰ると思うと名残惜しくてね。あっちで一服
こっちで一服するから、なかなか前に進まないのヨ」

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と言いつつ自転車にまたがったら、オイラたちを残してサッサと行
ってしまいました。

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午後3時30分を回りました。これからまた長い歩きが始まります。
あと2時間半、6時までには着きたいね。

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ミヤマガマズミの実をみつけました。林道歩きは単調だから植物
観察でもしないとね。

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(クリック)
今はツリフネソウが花盛りです。

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(クリック)
ムカゴをみつけました。茹でて酒肴によし。ムカゴ飯なんてのもい
けますが、今日は止めておきます。

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これはクサギの実ですね。黒いのが実で赤いのがガクです。秋が
深まると星型に開いたガクが人形みたいで愛らしいのです。

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(クリック)
こっちがクサギの花です。星型の五弁花は元気があってよろし。

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(クリック)
チャイロヒダリマキマイマイですね。(殻が左巻き)巨大な山のかた
つむりは、さっき見た山ナメクジとは大違い。角を生やして可愛ら
しいのです。さぁ、君が速いか、オイラたちが速いか。

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四郎左衛門沢出合の辺で帰り仕度の若い単独氏と遭遇しました。
赤津山でしたか?
「はい。雨量計までずっと刈り払いがしてあって楽でした。」
水はどうしたの?
「持って上りました。上にも池塘の水があるのですが臭いので飲め
ないのです。猿が水浴びするからね。」
あーアノ猿たちだ。と猿の姿が横切りました。
星キレイだったー?
「昨日の夜は西ノ峰のテン場からは満天の星でした。」

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あー若いっていいねー。と羨ましがるばかりのオイラたちです。

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山裾を忠実になぞっていくので、なかなか捗りません。対岸に団
兵エ峰が見えてきました。

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(クリック)
団兵エ峰の上に白い月が上りました。
山の上に月かかりたる秋の夕

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(クリック)
漸く小倉沢出合辺りまで来ました。行程の半分は越えたかな。日
が低くなって山陰が暗くなり始めました。退屈しのぎに一句ひねっ
たりして…。
山の端のいよよ輝やき秋日差し

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(クリック)
タイリンヤマハッカ(大輪山薄荷)が路傍に花をつけていました。
カメバヒキオコシかなって。でも似ているようで葉っぱの形が違う
かな。(上の亀のしっぽ葉は別です)

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靴底の足裏がむずむずしてマメがつぶれたような痛痒さを覚え始
めた頃、漸く着きました。掛留沢から2時間で来た勘定です。
暮れる前に着けてよかったよかった。

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湯の平温泉の露天風呂には入れなかったけど、帰ったら自宅の
風呂にゆっくり浸かろうと思います。だらだらとレポにお付き合い
いただきありがとうございました。

(おわり)

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コメント

長い林道歩き大変お疲れさまでした!南アルプス深南部の山のように越後の山もなかなか奥が深いですね!私は尾瀬沼を散策して檜枝岐村に泊まって来ましたよ!

静岡の岳人さん おはようございます。長い林道歩きは昔、南アのスーパー林道を延々と皆で歩いたよね。あの頃はみんな若かった。桧枝岐から尾瀬沼ですか。東西かけてご活躍ですね。昨日の朝は越後駒から尾瀬の燧岳の双耳峰がよく見えました。

投稿: 静岡の岳人 | 2015年9月29日 (火) 07時07分

しゃくなげいろさま
お疲れ様でした。
退屈される暇が無かったようで・・・。

輝ジィ~ジ様 おはようございます。いつもありがとうございます。「行きは良いよい帰りは恐い」はホントですね。小屋番さんが「退屈で退屈で」とこぼしながらもにこやかで、初め無口で愛想もなかった釣人氏が、帰りには「晩のおかずは岩魚を一匹目は塩焼きにもう一匹はソテーで」と聞きもしないのに長逗留の暇つぶしの対処法を語りかけてきたり、人は閑の中にも忙の気持ちをうまく作り出して、バランスが取れるものなのだと得心できたような…。(笑)

投稿: 輝ジィ~ジ | 2015年9月29日 (火) 07時51分

いやーお疲れさまでした!!!
猿群との遭遇や諸々森羅万象全てが貴兄の手のひらにあるようでは、チト大袈裟ですかね
(笑)
本当に全てをあるがままに楽しまれていますね!!敬服します。

kazu1954さん おはようございます。群れ猿の圏内に遭遇するのはちょっと恐い経験でした。長い林道歩きは「歩かなければ着かないぞ」って、もう開き直るしかありませんね。閑だと暇つぶしを、あれやこれやと適当に考えるものですね。(笑)

投稿: kazu1954 | 2015年9月29日 (火) 10時13分

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