越後駒ケ岳に登る
これは若い頃に学生書房(今はありません。市内鍛冶小路)で買い
求めた山岳家・藤島玄さん編集の骨董品です。出かける前に書棚
の奥から取り出して来ました。
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行く先を集成図に赤線を引いてみました。枝折峠から駒ケ岳山頂
までを往復します。
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バスは大湯街道を折立集落からシルバーラインに入り銀山平の
村杉経由で枝折峠に向かいます。車窓から越後駒ケ岳の豪快な
山容が見えてきました。
「銀山平といっても入口だが、村杉へ来てみると北ノ又川は広い磧
の間を流れ、河岸段丘は草藪木藪、周囲は低山ばかりで目を瞠る
ような岩峰もない。(中略)せめて、見透しもきかぬ橅林が続くか、
露天風呂の温泉があってくれれば、と思うがそれは戦前に遡らね
ばならない。」(越後の山旅 下巻 藤島玄著)
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バスは唸りを上げて急坂を登り詰めて、枝折峠に到着しました。
南方面に荒沢岳が見渡せます。
「枝折峠は車道の頂点で標高1065㍍。銀山峠という新鮮明瞭な
命名が、いつの間にか古い枝折峠に振り返られた。(中略)肩張り
の強い“銀山平の穂高岳”とも云われる荒沢岳を見ながら、仕度
を整い荷を肩にして、駒ケ岳登山の第一歩を踏み出す。」
(越後の山旅 )
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矢印に従って進むと取付の前の広場から未丈ヶ岳(1553m)の
特徴的な山容が見えます。中央は日向倉山(1431m)かな。
尾根に乗ると、ここから先に3つの小ピークを越えて右奥の大明神
山(1236m)まで約1キロ、高差171mを稼ぎます。
「駒ケ岳の昔の登山道は、銀山平の銀鉱採掘と離れられぬ深い関
係であった。要は銀山平の交通道路が主流であって、それに便乗
して、明神峠から分岐した支道が駒ケ岳の登山道である。」
(越後の山旅)
「銀山平と湯之谷村の両方の出入口に口留番所があったくらいだ
から、それ以外の山道の勝手気侭の通行は許されない。(中略)
枝折峠標高1065㍍はもと無名の峠。明神峠は枝折峠とも云わ
れていたのを移して新命名し、その間の頂稜へ新道を伐開して
続け、小倉山経由の登山道が成立したのだ。」(越後の山旅)
「明神峠は元枝折峠で枝折大明神を祀る。(中略)明神小屋は東
電の中継所も兼ね、大湯側へ約5分下って水場もあり5、6人は収
容できる。」(越後の山旅)
ご祭神は木花開耶姫(このはなさくやひめ)命だそうです。
明神峠の南に聳える大明神山(1236m)から明神尾根を辿って
道行山(1298m)を経て小倉山(1378m)に至るまで7つの峰を
越えて行きます。登リ下りを繰り返しても稼ぐ高度は僅か142m
です。
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道行山へ向かう途中でナラタケ発見!傘も柄も大きくて立派です。
傘の中央部の細かい鱗片と放射状の条線と柄の鍔が明瞭に判
別できる上物ですね。でも、今日は会山行が主ですから採らずに
素通りです。
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道行山への急坂の途中から来し方を振り返りました。薄く紅葉が
始まっていますね。
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下山中のオジサンが膨れた袋を自慢げに見せてくれました。「ア
マンダレがそこらじゅうにあるもんだから。今夜はキノコ汁さ。」
潅木帯の鞍部を通る道は湿地や泥道が多くなって、粘土質の溝
の底を滑らぬようにバランスよく歩かないといけません。スパッツ
がすっかり泥だらけになってしまいました。
「ーこうした地形は、山腹の緩傾斜面に断層線があり、そこが侵食
に対して抵抗力が弱く他の部分よりも低くなって、水の溜まる湿地
や小さい池沼になったりするケルンコル(盗人道)だが、こんなに
続出するのもめずらしい。」(越後の山旅)
小倉山の先にある「百草ノ池」もケルンコルによって堰き止められ
て、湧き出した地下水が溜まって出来たといいます。
駒の湯からの道と合流する小倉山に着きました。ここで30分の短
いランチになりました。今日参加の17名が一緒に揃って腰を下ろ
せる広い平頂は恰好の休み場です。
午後は百草ノ池までは腹ごなしには丁度いい、緩やかな尾根の登
りが続きました。行手の山も薄く紅葉が始まっています。
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百草ノ池を過ぎると今日一の急登が待っていました。でも今は木
の階段が整備されて、登り易くなったのは有難いことです。
1540mの百草ノ池から1763m点の前駒まで標高差223mの
一気登りはコース終盤の一番の頑張り所です。
前駒の岩場まで上がったら最後の休憩を取りました。見上げると
越後駒ケ岳の山頂直下の岩場の眺めが広がりました。でも午後
に湧いたガスにすぐに隠れてしまいます。
紅葉した岩尾根を辿ると鎖もかかる岩場の登りになりました。一
歩々慎重に足場を選んで登りました。
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鎖のかかっている急な所よりも、笹藪の境の足場が多い所があれ
ばそっちの方を探して登った方が安全です。
今回は参加者の足が揃って、予定よりも早く駒ノ小屋に到着出来
ました。
休まず、小屋にザックをデポして山頂に向かいます。荷が軽くな
ったというのに、さっき岩場で力を出し切ったから疲れてさっぱり
ペースが上りません。
一等三角点本点の山頂に着きました。先ずは三角点にタッチし
ましょ。一等三角点本点の間隔は平均45キロ㍍といいますから
三角点に立てば45キロ㍍先の眺望が得るられる筈ですが、今日
は生憎のガスです。
山頂の狭い平地は低木藪に囲まれて豊斟淳尊(トヨクムヌノ)の
銅像、大山祇命石像、三岳大神、三笠山大神などの石碑が祀っ
てありました。
鐘を鳴らして全員で写真に納まったら下山します。
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ガスが垂れ込めて眺望がない代わりに、草紅葉に照り返す日差し
が黄色を浮かび上がらせて実にきれいです。
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振り返れば矮木短草の巨大な丸壁の駒ケ岳が圧倒的なデカさで
迫ってきます。
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「駒ノ小屋は標高約1880㍍。明神尾根と郡界尾根の接続点のオ
ツルミズ沢の右岸、尾根の先端が拡がる末端近くにあり(中略)北
面は高山植物のお花畑を緩降数十歩でオツルミズ沢の清澄な水
を得られー」(越後の山旅)
その水場で水汲みが済んだら、お楽しみが待ってるぞー。
乾杯~!お疲れさ~ん。グッっと行きましょう。ぐっとね。
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秋の日暮れはつるべ落とし。登ってきた峰々に夕日が差し始めた
ら、あっという間に暗くなりました。
今日は一日ご苦労さんでした。明日の朝は早立だから、ちょっと
早目に休むことにします。では、お休みなさい。
(おわり)
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コメント
紅葉が綺麗ですね、キノコも美味しそうですね!私も先日、檜枝岐村に行く時 沼田ICからシルバーライン、奥只見を通って行きました。宿で食べたイワナの塩焼き・骨酒・キノコが美味しかったです!温泉も良かったです!
静岡の岳人さん おはようございます。岩魚の骨酒に地のきのこと温泉三昧とは良かったですね。駒ノ小屋で同宿になった静岡から来られたという登山者と静岡の話題で盛り上がりました。山の出会いとはいいものですね。
投稿: 静岡の岳人 | 2015年10月 4日 (日) 10時18分
越後駒ヶ岳 響きのよい名前ですよね。
浦佐山岳耐久マラソンの際に姿が見えることがあります。登りたい山の一つです!!
後編も期待しています。
私は、26~27日の立山に続き、
一昨日、山の師匠のY師と守門岳を登ってきました。大岳~青雲岳~袴岳 紅葉もなかなかでした。袴岳頂上からは遠く尾瀬の燧ケ岳も見えました。
kazu1954さん おはようございます。浦佐辺から見る魚沼三山の姿形が一番いいように思いますね。先週立山で今週Y氏と守門岳とはご活躍何よりです。守門連山の稜線は今頃紅葉がきれいでしょうね。山頂に立てばどこからでも遂ヶ岳の双耳峰が見えて山懐に入った感じがして爽快ですね。
投稿: kazu1954 | 2015年10月 5日 (月) 17時10分
しゃくなげいろさま
駒ヶ岳は会山行リーダーとして2度?
個人的にも残雪から新雪時まで今まで10回以上
歩いていますが、いずれも日帰りばかり。
駒の小屋で泊まったことは一度もありません。
明神は35周年記念登山銀の道を担当しましたが
近いうちにキノコ採りにでも!
輝ジィ~ジ様 おはようございます。いつもありがとうございます。リーダー山行2回、個人山行で10回以上、明神峠記念登山とはすごい。輝ジィ~ジ様の勝手知ったる山域の一つなのですね。オイラも残雪期に駒の湯からと今頃に枝折峠から1泊で中ノ岳・十字峡へ抜けたことがありました。今度いつか銀の道を歴史を偲びながら歩いてみたいものです。
投稿: 輝ジィ~ジ | 2015年10月 6日 (火) 19時39分