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2025年8月

2025年8月24日 (日)

久闊

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(クリック拡大)     七ツ小屋山より蓬峠
8月19日(火)晴れ
(俳句)久闊の友の逝きけり夏の果て
私の学生時代、部活の山仲間のOB氏の訃報を聞いた。故人は
私の1年先輩で後輩の面倒見がよい人望のある人だった。昔蓬
ヒュッテで小屋主から自炊の手際がよいとほめられたことがあ
ったとを思い出した。そんなある日、OB仲間からラインで54
年前の夏合宿の計画書と写真が届いた。手書きガリ版刷り21頁
のPDFだった。54年前とは昭和46年(1971年)7月28日~8
月5日までの飯豊連峰主脈縦走の計画書だった。
越後下関駅で下車、大石集落まで入りゴンドラ幕営地で1泊。
翌日は東俣川林道の終点まで歩いていた所をたまたま通りかか
った村の人の善意でトラックの荷台に乗せてもらったことを覚
えている。終点からブナイデ沢の渉り場で一人ずつザックと自
身がゴンドラに乗り、引綱を引いて26mの河身を渡り、対岸の
カモス峰に取付く。杁差岳、北股岳、御西岳、大日岳を往復し
、飯豊本山、種蒔山、三国岳、地蔵山経由して川入へ下る南下
コース組と、その逆コースを登る北上コース組に分かれて、部
員40人が半分の20人ずつ分れ、各10人編成のパーティー2班
ずつ南下組と北上組がコース真ん中の十文字小屋に集中、スラ
イドする計画だった。

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「越後の山旅 上巻(藤島玄著)」「飯豊連峰大地図(藤島玄著)」
飯豊山地の情報は主に両書に頼った。関係個所は何度も読み返
して部員皆で計画を練った。係分担では私は新潟だから飯の炊
き方は上手いだろうと言われ、食料班になった。3食8日間の献
立表を作った。昼食のパンは大学近くの馴染のパン屋さんに頼
んで日持ちするフランスパンを8日分を人数分焼いてもらった。
昔はフリーズドライ等なかった時代なので、只ひたすら8日分
の鯨の大和煮の缶詰と玉葱とジャガイモと米をキスリングのポ
ケットに詰め込んだ。気象班はNHK第2放送の漁業気象情報を
天気図に書き込む練習に懸命だった。地図班は5万分地図とに
らめっこして高低差グラフを作成した。
写真の中の仲間は皆若く、重いキスリングを背負っていた。今
では見かけなくなったキスリングとは横長で大容量、丈夫な帆
布性のザックのことで、重いテントや共同装備、8日分の食料
と水、個人装備をパッキングすると30、40㎏になるのを当た
り前のように担いで只黙々と登った。私は南下コース組だった。
カモス峰を登る日も今日の様に暑かった。千本峰の辺りで水筒
の水が底をついた。前朳差岳を登りあがって着いた長者原の景
色がまさに天空の楽園のよう思えた。透き通った池塘の水に顔
を浸して飲んだ、旨かった。(野猿が水浴びしたかもしれず、
微生物や雑菌の巣のような池塘の水など怖くて、今ではとても
飲む気はしないが。)同じ班のライン仲間から皆それぞれに苦
労したエピソードが寄せられた。

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従来は西俣川経由で大熊小屋に至り杁差岳に登るクラシックル
ートがあったが、第19回新潟国体の登山会場として東俣川経由
の登山道が昭和38年秋に開削された。大石ダムの建設工事着工
が1970年で竣工の1978年には旧来の東俣川林道はダム湖の下
に沈み、苦労して渡ったゴンドラの代わりに第2号鉄橋(ブナイ
デ橋)が架かった。「久闊(きゅうかつ)」とは長い間人と会って
いないことや便りを交していないことを意味する言葉である。
(Microsoft CopilotあなたのAIアシスタント)
図らずも54年前の飯豊連峰縦走夏合宿の計画書を送ってくれた
OB氏のラインを通して大学時代の部活の友人と久闊を叙した
一日となった。
(おわり)

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2025年8月10日 (日)

風は秋

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(クリック拡大)  弥陀ヶ原より月山
8月9日(土)晴れ
(俳句)ひろびろと草ひろびろと風は秋
酷暑が続く毎日ですが、暦の上ではもう秋。時折吹く風に心地
よい秋を感じます。
「阿弥陀如来が祀られていたので「弥陀ヶ原」と呼ばれる。月
山弥陀ヶ原は霊峰月山の8合目に広がる高山湿原地帯「天空の
楽園」と称されるスポット。御田原神社があり稲田の守護神、
奇稲田姫神が祀られている。」(AIあなたのアシスタント)
時折現れる池塘に生えるホタルイ(蛍藺)を神の田圃すなわち
御神田に例えたものでしようか。
3
木道脇に生えていたオオバギボウシの花、ピンクの愛らしい花
はハクサンフウロ、池塘のいくつかはご覧の通り干上がってい
ました。ギボウシもハクサンフウロも水不足と酷暑に元気なさ
そうに見えました。
6
下山の途中に立ち寄った休憩所脇には注連縄を掛けた巨大な兎
が祀られていました。なぜ兎?と思ったら、「月に兎」でした。
月山すなわち月読命の山に向いている兎だったのです。患部を
なでると御利益があるというので座骨神経痛が早く治りますよ
うにと兎さんのお尻と後ろ足のあたりを懇ろに撫でてお参りし
ました。
(おわり)

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2025年8月 1日 (金)

晩夏光

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(クリック拡大) 
8月1日(金)晴れ
(俳句)影の神かげりて島の晩夏光
「影の神」は佐渡市後尾地区にある巨大な岩島で霊的存在と
して崇められて来た所です。名前の「影の神」は霊峰金北山
の祠の影が岩に映ることに由来する説、また「鹿毛の霊(かみ)」
とも呼ばれ鹿毛の馬が人に化けて現れるとい怪異譚、はたま
た岩のシルエットが牛が眠っている姿にも見えることから、
金北山の神の使いだった説と諸説云い伝えが残る神秘性を秘
めた場所なのです。島の南側に洞穴があり、弘法大師が修法
を行った所で、その奥に観音像が安置され舟でゆくしか参拝
ができない神聖な空間があるといわれます。影の神の頂上に
は槇柏(しんばく)が密生しており、採ると大時化が来ると
云い伝えられています。

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(クリック拡大)
高さは約30m、周囲約320mの一枚岩の溶岩ドームで約2,000
万年前の火山活動によって形成された流紋岩質の巨岩で岩肌に
縞模様が見られ、粘性の高い溶岩がゆっくり流れた証拠といわ
れまています。佐渡ジオパークにも登録されています。
(Microsoft Copilot(あなたのAIアシスタント)より)
あと1週間もすれば暦の上ではもう秋。過ぎ行く夏に、どこか
もの悲しさを覚えて影の神の前から去りがたい気持ちになるの
でした。
(おわり)

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